ショートコース実行委員長ご挨拶

小森高文

日本薬物動態学会第14回ショートコース 実行委員長
小森 高文(エーザイ株式会社 メディスン開発センター BA機能ユニット)

 日本薬物動態学会(JSSX)第36回年会の初日となる2021年11月16日(火)に、第14回ショートコース(SC)を高崎市 Gメッセ群馬にて開催いたします。前回よりSCはJSSX年会と同時期に開催することになりましたが、2021年開催にあたっては、高崎健康福祉大学荻原2021年会長とも連携した形で運営・内容を企画いたします。

 近年の医薬品開発では従来の低分子化合物に加え、ペプチドを含めた中分子医薬、抗体医薬やAntibody-Drug Conjugate(ADC)に代表されるバイオロジクス、DDS、核酸医薬、細胞医薬等の新しいモダリティへの戦略展開が急速に進んでいます。それに伴い、製薬企業の非臨床安全性・薬物動態部門においても医薬品候補化合物のプロファイリングに必要なin vitro/in vivo/in silico評価、マススペクトロメトリーを用いた高感度定量分析・イメージング技術、M&Sをはじめ、創薬技術基盤・評価アプローチにパラダイムシフトが起きています。

 例えば、昨今の患者さま由来iPS細胞とゲノム編集技術の融合は、遺伝子治療の技術基盤として医療応用への貢献に加え、創薬におけるターゲット探索・メカニズム解析、スクリーニング等への幅広い利活用が期待されています。高次機能を有したiPS由来細胞・臓器をマイクロ流体デバイスに搭載したMicrophysiological System(MPS)は、創薬支援技術プラットフォームの一つとして、薬効・毒性スクリーニングにとどまらず、最先端の質量分析法・プロテオミクス解析と融合したバイオマーカー探索や、数理学的モデルと融合した定量的なヒトPK予測への応用等にも期待が高まっています。

 MPS同様、遺伝子改変およびヒト化動物も、定量的なヒトPK・DDI、薬効・毒性予測を精度よく実現し得るモデルとして期待が高く、低分子化合物のみならず、多様な創薬モダリティへの応用・利活用に拡がりを見せつつあります。また、これら技術開発・トランスレーショナルサイエンスの推進に加え、最新のレギュラトリーサイエンスの知識・ノウハウを礎に、創薬モダリティの特徴・安全性/動態特性を勘案した高質な試験デザイン・評価項目を適宜適切に策定、FIH試験あるいはNDA申請に向けて効率的且つ戦略的に非臨床試験を推進することが益々重要になってくると思われます。

 このような背景のもと、本SCは、基調講演、特別講演、4セッション12演題の一般講演より構成予定で、サブタイトルとして「Translational and Integrated DMPK-driven Sciences for Emerging and Expanding Drug Modalities」と銘打ちました。激動の環境変化の中、日々変わりゆく創薬・医療における薬物動態サイエンスの最前線の話題・事例・知見を学際領域含め産・官・学より幅広く集め、多角的な視点で熱い議論を交わし、新たな人的ネットワーク・ビジネスチャンスの構築、また、参加者皆様のナレッジの昇華に繋がる機会となるよう尽力する所存であります。本会に参加頂く皆様が、アカデミアおよび製薬企業における薬物動態研究の将来動向、また、医薬品開発支援に必要なCRO業界の製品・技術開発戦略、加えて、夢溢れる学生の皆様が創薬現場で薬物動態研究者が担う役割・ミッションを体感、共に考える稀な機会になれば幸いです。

 最後に、本会で共有・議論される最新の貴重な情報が、今後の薬物動態研究の発展・創薬活動に活かされ、グローバルヘルスへの貢献に繋がることを期待します。一人でも多くの方の参加を心よりお待ちしております。

2020年12月吉日